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ユーモアが好きと言っておきながらただのはけ口

末子

私は長兄です。妹がいます。いとこがいません。両親の実家双方からのたった2人の孫です。ですから、事実上末っ子なのかもしれません。

 

末っ子というとどんなイメージでしょうか?愛され上手だの親しみやすいだの考える人もいるでしょうけど、わがままマイペースみたいなイメージを持たれる気がします(これが共通認識だとしたらなかなか酷だと思いますが)。幼稚園〜小学校の頃、つまり通い先が地元の頃はお兄ちゃんぽいと言われましたが、大学だと長兄ぽさがないように見られていたみたいです。

 

今の会社でもそうみたいです。

ただ、末っ子ぽいと言われたのは初めてかもしれません。さて、上記の共通認識のもとでそう思われているのだとしたら?初々しくて親しみやすい新入社員である?それとも社員のくせにマイペースな奴?さて、その答えはいずれか。

 

何回か上長と面談をする時に、私に期待してくれている旨を伝えられます。回を重ねるごとに、「あんたはもっとやれるぞ!」というメッセージのオブラートが溶けてきている気がします。そして、先日こうも言われました。

「例年の新入社員より仕事覚えるの遅いって話があるんだけど」

「教える側が悪いですかね?」

「人が減るから危機感を持ってほしい」

良薬は口になんたらというが、これはエグみが強すぎました。やっぱり、末っ子のマイナスのイメージの方を保たれていた気がします。

 

私がマイペースぽく見えるのには、思い当たる節はありますよ。教わった作業それぞれの持つ意味や根拠を知らなければ気が済まないとか、荒削りなアプローチだから細かいことは何度も確認するとか。たとえば、私はカレーの存在を知らないのに毎日カレー作りに携なければならないとする。そうすると、まずカレーのなんたるかを知らなければならない。けれども、最初に覚える仕事は簡単なニンジンの皮むき。次は鍋に油を引く作業。次は米を研ぐ作業。カレーを知っていれば問題はないですが、カレーを知らなければ「皮なしニンジン」と「鍋にある油」と「濡れた米」しかわかりません。なぜなら覚える順番がバラバラで、繋がっていないから。私がやりたいのは、まずカレーの存在を教わり、それに近いものをとりあえず作ってみること。そこで、食べやすくするためにニンジンの皮を剥いたり、美味しいご飯を炊くために米を丁寧に研ぐ意味を知ること。その後に、ニンジンの皮は剥けきれているか、米はキレイに研げているか、などを味見してもらうこと。やっている意味がわからなければ、それは安いバイトに雇ってやらせればいい。名古屋市に提出するための、署名の書き写しみたいに。

 

OJTなんて言葉は響きがいいだけです。マニュアルがないことを誤魔化しているだけです。(おそらく)人事の人選によって渋々「トレーナー」になった方が私に仕事を邪魔されるのだから、気の毒です。そこで私が工夫してわかる範囲で構築しようとしているのに、「仕事を覚えるのが遅い」と言われるのはあまりに心外でした。面談時は萎縮や相槌で乗りきりましたが、帰宅中は苛立ちで鳥肌が立ったくらいです。周りがどう思っているかは知りませんが、私は割と真剣なんですけどね。

 

親会社から出向している同期がいます。1年で私の会社の業務を把握して、次年度から出世街道を進まんとする方々です。めちゃくちゃ口調は丁寧だし、仕事を覚えるのが早い気がします。あ、そうそう。なんとなく私よりしっかり基礎を教わっている気はするんですけど、隣の芝生が青いだけでしょうか。私の甘えのあらわれでしょうか。それとも、本当にこの方々にはより丁寧に教えているんでしょうか。

 

ガキの頃私が少し優秀だったゆえに、妹がそれに負い目を感じていた時期があったみたいです。今はそれぞれで別の分野を得意としているので、棲みわけができていて、お互いを尊敬できているような気がします。今にして、ようやく我ながらいいきょうだい関係だと思う一方、かつての妹へ申し訳なく思います。妹は大切な家族なので良い関係を続けたいですが、会社における親子や姉妹の関係は無理にその必要がないのかもしれません。

 

2021.05.15