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ユーモアが好きと言っておきながらただのはけ口

出口

先日、とある英会話講座の3ヶ月プランが終了しました。そして卒論もあと少しで終わりそうです。いちばんの山場を乗り越えたので、なんだかもう終わった気分でいます。とても爽快感に溢れています。それはもう、関越トンネルを徒歩で渡りきろうとしているくらい。で、残り400mのところでバイクに乗せてもらえるかもしれない感じ。
 
この感覚は大学受験の時ぶりです。
本命の大学は2日にわたって試験が行われていました。初日は国語と数学。気持ち悪いほど筆が進んでいました。数学は、例年「おきまりのパターン」があるんですが、その年だけなかったみたいです。あんまりパターンで覚えていなかったので、自分は難なく解けていましたが、周りはどうやら大慌てだったらしいです。我ながらどっしり構えていた気がします。塾に大金を注ぎこんでもらった甲斐がありました。高校の同級生と帰りの列車で「お前受かるかもよ!」なんて言われて調子乗っちゃって。いや、でも本当にそんな気分でした。夕方くらいになってお腹が空いて、駅ナカで食べた丸亀製麺のとり天ざるうどん。あの美味さは一生忘れません。ワンコイン以下の飯屋で泣きそうになる学生なんて側から見れば可笑しかったでしょうね。
んで、翌日。英語と社会科です。英語もまあそこそこできました。問題はそのあと。社会科は選択科目で、私は地理で勝負することにしていました。みんな昼休みに世界史だの日本史だの勉強していました。少しくらい休めよ、と思いながら校舎の周りを散歩していました。そして、社会科のテストが始まりました。
 
 
わからねえ…
 
出題範囲が確か環境問題とか国際協調とかそこらへんだった気がします。この範囲は、地理の教員が「ここあんまり出ないからやらなくていいよ笑」と言って授業でさえ取り扱わなかったところでした。どうせタモリ倶楽部と時事問題の融合みたいなのが来るだろうとタカを括っていたらこのザマです。10%も埋まらねえ。やべえ。解けねえ。
 
鐘が鳴りました。私の闘いは終わりました。ぶつけられるだけぶつけたと思います。帰りがけに前日とは別の友人と合流しました。全落ちで浪人ほぼ確定なのでちゃんと勉強を管理できるように手帳を買いに新宿行くからついて来てくれ、と言われホイホイついて行ってラーメン食ってきました。彼の話が面白すぎてめちゃくちゃ楽しくて、地理で起きた不具合を忘れていました。家に着いたら「凱旋だーーー!!!!」と叫びました。そんな気分でした。
 
結果は不合格。その後点数開示したら2-30点足りなかったみたいです。休み時間に地理を見ていたら違った未来が見えていたと言える点差でした。違った未来で、運と親の財力を自分の手柄のうちだと思って以降暮らしていたかもしれません。「身の丈に合った受験回数」発言の恐ろしさを知らずに生きていたかもしれません。ある意味まともな挫折経験でした。
それでもプライドだけ高い自分はそれを受け入れられず、昨年の問題だったら受かっていた、とかもう1年やれば受かるかも、とか入学直後もそんなことばかり考えていました。大学以降の知り合いにも受験校マウントを取ろうとしていました。死ぬほどカッコ悪いっすね。
 
今でこそ偏差値だけで大学を語ることがいかにナンセンスかを知っています。某YouTuberグループの気色悪さもわかっています。それでも、親の財力という力があっても、私の努力経験はそこそこある気がしてしまいます。だから、未だに過去問も捨てられない。だから、「今年なら受かってた」を避けるために試験問題を新たに解くこともしない。気がつけば卒論に追われるし社会人は目の前です。ひどい時は「Soundtrack to Murder」という曲の歌い出しでドキッとしてしまうこともありました。
 
さて、今もトンネルの中にいますが、その出口は遠ざかる時があります。ひとつは夢の中にいる時です。たまーーーに、未だに高校生の時の夢を見ます。受験直前の私です。夢の中だとそれが現実に思えて焦ったり時にはワクワクしていますが、醒めると大学の4年間を否定している自分がいる気がして虚しくなります。それなりに知見は積み上げたし(マイナスからの成長は目立つ)、大学以降の出会いだってとても多いわけではないけどひとつひとつがとても濃いし。いや、出会いも多いわ。多くて濃密ですわ。もうひとつは終わっていないものを終わっているかのようにとらえる時です。試験が終わっていないのに散歩して最後の最後で大コケ。卒論が終わっていないのに終わった気分でいると…??4年前の反省くらい活かさないといけませんよね。こんなもん書いている暇なんてないんすよ。いや、あえて書くことでこの不思議な高揚を落ち着けてくれるんだと信じているんでしょう。心のどこかで。
 
 
2/5の金曜日が卒論の締め切りです。トンネルの先には都内散策、世界史の学び直し、宅録、外国料理巡り、川端康成にも想像のつかないこうした絶景が待っています。絶景ぶりに泣く可能性だってあります。今月だけは24時間マラソンのランナーの気持ちがわかる善良な人間になれるかもしれません。全速力で駆け抜けていくぜ。
 
2021.2.2